真冬の小倉競馬場。
その日も、成績は散々…。
私は意気消沈しながら、帰り支度をととのえていました。
外も寒いが、財布の中身はもっと寒い。
帰りの電車賃を引くと、残りは わずかな小銭のみ。
「あのレースで武豊がハナ差かわしていれば…」
などとボヤきながら、
ふと、競馬場内の大型スクリーンに目をやると…。
「あれ? 確かこの馬…」
私は大型スクリーンに映し出されたその馬に、見覚えがありました。
その馬の前走は、記憶に残るぐらい”特殊な勝ち方”だったのです。
「次に出てきたら、注目してみよう」
そう思っていたのですが、結局、忘れていた…。
そのレースを勝ったことで、記憶が蘇ったのです。
私は家に帰り、早速、VTRを確認することに。
ビデオテープを棚から引っ張りだし、ビデオデッキに挿入。
*その当時は、パソコンでレース映像を観れませんでした。
「やっぱり、そうか…」
激走したその馬は、前走で”ある大きな特徴”を持っていました。
よく観ると、普通の勝ち方とはだいぶ違う。
これは…。
ひと呼吸おいて、私は考えました。
「いや、待て、待て。
早合点するな。
これまでも、そうだったじゃないか。
使えると思ったとたん、使えなくなるパターン。
どうせ今回もそのパターンだろ…」
テイクアウトした吉野家の牛丼をかきこみながら、そう冷静に自分にいい聞かせました。
とりあえず、私はその”あるパターン”の馬を追いかけることにしました。
ダメで元々。
少しでも使えれば儲け物、という感覚でした。
数ヶ月後。
私は競馬で少しだけ勝っていました。
その”あるパターン”の馬を買い続けただけなのです。
そんな単純な方法でしたが、わりと安定して馬券が当たるのです。
「このパターンは本当に使えるかも知れない」
その後、私は、その”あるパターン”を徹底的に研究。
仮説→検証を繰り返しながら、とことんまで突き詰めていきました。
その結果、どうなったか?
ジジジジジジジジジ
と、音をたてて計算する払い戻し機。
ピーーー
という機会音とともに、顔をのぞかせる茶色い札束。
私は、出てきたソレを力強くわしづかみにする。
半信半疑で買った馬券が現金に替わる。
今まで味わったことがない、何とも言えない快感。。
私は、これまでの負けが嘘のように、競馬で勝てるようになっていました。
これまでは、使えるパターンを発見しても、すぐダメになることがほとんどでした。
調子がいいのは、ほんの一瞬。
逆に損をするパターンさえありました。
ところが、今回はどうも様子が違う。
その”あるパターン”の馬に限っては、継続して馬券が当たるのです。
どうも一過性の現象ではないようでした。
「これは本物かも知れない…」
徐々に、そんな希望を抱くようになりました。
その一方で、
「もしかしたら、また使えなくなるかも…」
そんな不安も、わずかながら残っていました。
まだ十分な確信が持てていない状態でした。
ある日。
私は著名な予想家『O氏』に質問することにしました。
もちろん、その”あるパターン”についてです。
そのあるパターンが、本当に有効かどうか?
O氏のブログに、直接 質問をぶつけようと思ったのです。
O氏は、専門誌時代に100%超えの回収率を叩きだした予想家で、
『最強の男』
とまで呼ばれた人物です。
書籍も出版しており、その実力は確かと思えました。
ちょうど、その頃、O氏のブログでは『質問コーナー』が設けられていました。
その質問コーナーで、読者からの質問を受け付けている最中でした。
私は以下のような質問を、O氏のブログに送りつけました。
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はじめまして。
Tと申します。
O先生に質問があります。
レースを観ていると『●●のパターンの馬』が、次走でよく走っている気がします。
実際、そのパターンで何度も馬券を獲りました。
今は、そのパターンの馬だけを狙い続けています。
そして、勝っています。
このパターンの馬は、これからも走るのでしょうか?
それとも一時的な現象なんでしょうか?
よろしくお願いします。
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「最強とまで呼ばれた男が、何と回答するか?」
私は興味がありました。
もし、最強の男が太鼓判を押すようなら、このパターン、自信が持てる。
今後も強力な武器になり得る。
ただ、この質問コーナーは、すべての質問が取り上げられる訳ではありませんでした。
最強の男が選んだ質問のみ、回答されるようになっていました。
数日後。
私の質問は、最強の男によって選ばれていました。
質問コーナーに取り上げられていたのです。
最強の男が、なんと答えたのか?
回答は以下のようなものでした。