◎ワンアンドオンリー(2.4倍 9着 返し馬で発汗目立ち…)
…毎年、荒れ狂う菊花賞。
だが、今年はさすがにワンアンドオンリーで堅いのではないだろうか。
理由は3つある。
まず1つ目が、ワンアンドオンリーの『京都3000mへの適正』。
父は、距離が延びるほど成績が増すハーツクライ。
馬体をみても、手脚、繋が長い。
実際、同馬は距離を延ばすほど成績をアップさせている。
距離延長を苦にするはずもない。
また、パワータイプという感じの馬体ではなく、前走のような急坂コースよりも平坦の方がいいタイプ。
平坦+長距離の淀3000はワンアンドオンリーにとって絶好の舞台と言える。
2つ目の理由が、『前走のレース内容』。
前走の神戸新聞杯は、着差こそ僅かだったが、(2着以下に)圧倒的な力差を見せつけるレースぶりだった。
あれだけ大外を回りながら、あの推進力。
4角手応えバツグンで、直線で早め先頭に立つと、外から並びかけたサウンズオブアースを差し返して完勝した。
………………
まさに横綱相撲だった。
このような強い競馬は、これまでのワンアンドオンリーでは見た事がなく、更なる進化を予感させる内容だった。
3つ目の理由が『成長力』。
ワンアンドオンリーが一皮向けたのは、間違いなく4走前の弥生賞からだ。
それ以前にも、重賞勝ちなどはあった。
が、放牧を挟んだ4走前の弥生賞から、いろいろな面で馬が変わった。
その1つが調教だ。
それまでは全くと言っていいほど調教で動かなかった同馬が、4走前から速いタイムを連発するようになった。
(具体的には、以前は栗坂路で54〜55秒台が精一杯だったのが、50秒台前半をマークするまでになった)
それに伴って、実際のレースぶりもパワーアップ。
末脚に磨きがかかり、ついには橋口調教師に悲願のダービー制覇をプレゼントするまでになった。
ジャスタウェイにしろ、ウインバリアシオンにしろ、一度覚醒したハーツクライ産駒の勢いは、そう簡単には止まらない。
覚醒モードのワンアンドオンリーが、絶好のコース、絶好の距離で馬群に沈むということは考えにくい。
枠がもう少し内枠の方が良かったとか、思ったより馬体が増えていないとか、そんなことは些細な問題で、死角とは言えない。
正直なところ、私が興味があるのは、ワンアンドオンリーの勝ち負けではない。
『どれだけ圧勝するか』。
成長したワンアンドオンリーがどれだけ進化して、どこまで他馬を圧倒できるか、という1点に、私の興味は注がれているのである。
いや、こんな事を言うと、仮に敗れたときにこのブログが火の海と化すが…。
以前、私は天皇賞春で「オルフェーヴルは鉄板」と豪語したことがあった。
阪神大賞典のあの『ありえない逸走』を見て、オルフェーヴルの底知れない能力を感じたからだった。
そして、自信たっぷりに『オルフェ鉄板』と書いた。
それを信用した私のブログの読者が、オルフェの単勝にウン●万円をブチ込んだ。
「分かりました。ありったけの資金で勝負をかけます。買ったら飲みにいきましょう!おごります。」
みたいな事がコメント欄に書かれてあった。
その時、私はなにか得体の知れない嫌な予感を感じた。
結果は周知の通りだ。
単勝1.3倍に支持されたオルフェーヴルは、見る影もなく馬群に沈んだ。
4角で池添騎手の手が激しく動き、押しても引いても上がっていかない。
直線は申し訳程度…すら伸びない。
そして、後続を引き離して先頭に立ったビートブラックが、単勝159倍という超人気薄で逃げ切ってしまったのだ。
これまで、幾多のレースで圧倒的な強さを見せつけたオルフェーヴル。
しかし、あの時、印象に残ったのは、オルフェーヴルが初めて装着した『黒メンコ』の影から見えた同馬の覇気のない瞳だけだった。むなしい余韻を残して全ては終わった。
全身の力が抜けた。
あの(ブチ込んでしまった)読者の方は大丈夫だっただろうか…。
無理はしていなかっただろうか…。
と、心配になりながらも、なんの沙汰が無く月日は過ぎ去った。
そして、その方が、私のブログにコメントすることは二度と無くなった。
これは私のトラウマだ。
競馬に絶対はない。
だからこそ、たとえ絶対と思えるレースでも、自分を律して大勝負は避け、リスク分散を心がける必要がある。
勝ちたい、儲けたいという欲を制する必要がある。
これは、私の苦い実体験からきた貴重な教訓だ。
過去の失敗は変えることはできない。
しかし、過去の失敗を未来に活かすことはできる。
…話がそれたようだ。
とにかく、今回の菊花賞も堅いとは思うが、無理だけはしないで欲しい。
競馬に絶対はないということを忘れないで欲しい。